第5回フリースクール等に関する検討会議(2015年11月19日開催)を傍聴して

 2015年11月19日、文部科学省3階講堂でおこなわれた「フリースクール等に関する検討会議(第5回)」を傍聴してきました。前回第4回の開催が2015年4月14日なので、半年以上、会議が開かれておらず、久々の開催となります。議員立法で制定が目指されていた「多様な教育機会確保法案」(義務教育の段階に相当する普通教育の多様な機会の確保に関する法律案)の国会上程が2015年9月に見送られたこともあり、この検討会議でどのような議論がなされるのか気になっていたので、東京まで出かけてきました。

フリースクール等に関する検討会議(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/107/



 およそ2時間の会議の内容は、報告が中心で、実質的な検討がなされたという感じではありませんでした。


 初めに、文部科学省の事務局から、「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査結果」と「不登校児童生徒への支援に関する中間報告」について報告があり、その後、委員から、フリースクール等と学校・教育委員会との連携について事例の報告がありました。最後に、こうした連携の事例について、各委員が自分たちの実践を紹介しながら意見交換して、会議は終わりました。


小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tyousa/1360614.htm

不登校児童生徒への支援に関する中間報告
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/108/houkoku/1361484.htm



 私が関心を持ったのは、会議の中盤におこなわれた「今後の検討の流れ」についての話でした。


 第1回(2015年1月30日)の検討会議の配付資料「資料1 フリースクール等に関する検討会議について(平成27年1月27日初等中等教育局長決定)」には、この会議で検討する事項として、

  (1)フリースクール等での学習に関する制度上の位置付け
  (2)子供たちへの学習支援の在り方
  (3)経済的支援の在り方
  (4)その他フリースクール等に関連する事項

の4点があげられていました。

資料1 フリースクール等に関する検討会議について
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/107/shiryo/attach/1355627.htm


 今回の第5回検討会議における文科省事務局の提案(資料3-1 これまでの開催状況及び今後の検討の流れ(案))は、「(2)子供たちへの学習支援の在り方」を中心に、特にフリースクール等と学校・教育委員会の連携やフリースクール等の間のネットワークの構築による学習支援の充実に着目して議論したいというものでした。検討のスケジュールは、2016年年3月31日までだった検討会議の設置期間を延長し、2016年春までに審議経過報告をまとめ、2016年度中に「最終まとめ」を出したいということでした。また、口頭で、議員立法での成立が目指されている法案についてはこの検討会議では取り扱わないという説明もありました。



 さて、検討会議を傍聴しての私の印象は、「制度を大きく変えるような議論は、今後、この検討会議ではおこなわれず、既存の制度を前提に、学校や教育委員会との連携というかたちでフリースクール等の役割を考えることになるだろう」というものでした。


 先の「不登校児童生徒への支援に関する中間報告」(平成27年9月7日不登校に関する調査研究協力者会議)の8~9頁には、「3 連携ネットワークによる支援」という項目があり、下記のように書かれています

「不登校への対応に当たっては、多様な問題を抱えた児童生徒に、傾向に応じてきめ細かく適切な支援を行うこと及び社会的自立へ向けて、進路の選択肢を広げる支援をすることが大切である。そのためには、学校、家庭、社会が連携協力し、不登校児童生徒がどのような状態にあり、どのような支援を必要としているのか正しく見極め(アセスメントを行い)、適切な機関による支援と多様な学習の機会を児童生徒に提供することが重要である。
 連携ネットワークによる支援に関しては、不登校の解決を中心的な課題とする新たなネットワークを組織することも一つの手段であるが、不登校児童生徒を積極的に受け入れる学校や関係機関等からなる既存の生徒指導・健全育成等の会議等の組織を生かすなどして、効果的かつ効率的に連携が図られるよう配慮することが重要である。その際、学校や教育行政機関が、多様な学習の機会や体験の場を提供するフリースクールなどの民間施設やNPO等と積極的に連携し、例えば、学校の教員等が民間施設と連絡を取り合い、互いに訪問する等の具体的行動をとるなど、相互に協力・補完し合うことの意義は大きい。
 また、連携ネットワークにおいては、不登校児童生徒への事後的な対応のみならず、幼稚園・保育所・小学校・中学校・高等学校等のそれぞれの間の連携を重視して、個々の児童生徒が抱える課題に関して、情報交換し、必要に応じて対策を協議するなどして、一人一人の児童生徒が自己の存在感や自己実現の喜びを実感できる学校教育の実現に向けて、日頃から連携を図ることが望まれる。」(不登校児童生徒への支援に関する中間報告、8-9頁)


 ここに書かれている「その際、学校や教育行政機関が、多様な学習の機会や体験の場を提供するフリースクールなどの民間施設やNPO等と積極的に連携し、例えば、学校の教員等が民間施設と連絡を取り合い、互いに訪問する等の具体的行動をとるなど、相互に協力・補完し合うことの意義は大きい」という認識を前提に、今後、フリースクール等に関する検討会議の議論が進められていくのではないかと思います。おそらく、「フリースクール等での義務教育の実施」といった大きな制度変更に関わる議論はなされないのではないでしょうか。



 次回の検討会議は、2015年12月下旬に、事例報告を中心におこなわれるそうです。


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