質的データの収集3(インタビュー)──地域社会学II2011年12月14日

12月21日の地域社会学IIでは、質的データの収集法の二つ目として「インタビュー」を取り上げました。インタビューは、会話をとおして情報を収集する手段です。情報収集の手段としての会話は、日常生活のさまざまな場面でおこなわれています。しかし、社会調査でおこなうインタビュー(会話)は、(1)面識のない相手、(2)話題の設定、(3)時間の制限という3点で日常生活の場合とは異なり、独自の注意が必要になってきます。授業では、まずこの点について確認し、次いで構造化・半構造化・非構造化・グループインタビューという4つのインタビューの類型について概説しました。最後に、半構造化インタビューの進め方について、インタビュー前・中・後に分けて話をしようとしましたが、途中で時間切れになってしまいました。続きは年明け1月11日に話をして、終わりしだいドキュメント調査の話に進んでいく予定にしています。


講義ノートはこちら(MS Word, 35Kb)
https://1drv.ms/w/s!Au4k6YKQM1eZ9024xwneHB77HfAc


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講義ノートテキスト版
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20111221地域社会学II(質的データの収集3インタビュー)

質的データの収集3──インタビュー
インタビュー法の定義
 「調査者が、あまり面識のない調査対象者と、ある話題について質問-回答という形式の会話を一定の時間続け、情報を収集する社会調査の方法」

社会調査のインタビューと日常会話の比較
 共通点
 会話を通して情報収集をする
 日常会話の作法や技術などの多くが、インタビュー法に用いられる
 「うん、うん」と、うなずきながら話を聞く
 熱心に聴いていることが言外で伝われば、相手も一生懸命話してくれる
 相手の身振りや会話の抑揚などから、話された内容の真偽を判断する
 相違点
 社会調査のインタビューの相手は、基本的に面識のない人
 日常会話の相手は、基本的に、よく知った人。
 社会調査のインタビューでは、「初対面であることにともなう不安や緊張をいかに取り除くか」(=ラポールの構築)が鍵となる
 ラポールとは、調査者と調査対象者の間の信頼関係のこと
 社会調査のインタビューでは、会話の話題が事前にはっきり設定されている
 日常会話の話題は、その場その場で設定され、簡単に移り変わっていく
 社会調査のインタビューでは、話題やテーマがはっきり決まっているので、その情報を収集するという強い目的意識が、会話で作用する。
 設定された話題からインタビューの会話の内容が大きく逸れることはなく、逸れた場合には、元の話題に戻る努力がなされる
 社会調査のインタビューでは、会話を行う時間が設定されている
 日常会話が続けられる時間は、当事者によって事前に決められていない。
 会話が終わるのは、話題が尽きたか、外的な理由によって会話が続けられなかったかなどした場合
 社会調査のインタビューでは、当事者間の事前の約束として、30分とか、1時間とか、ある特定の時間が設定された上で行われる。
 したがって、決められた時間内で、いかに多くの情報を得るかという「うまく話を聴き出す戦略」が重要になる
 事前によく下調べをして、自分の必要な情報が得られるように、どのように質問していくかをよく考えてから、インタビューにのぞむ


社会調査で用いられる4つのインタビュー
構造化インタビュー
 質問項目と回答の形式が事前に決められていて、変更が許されない
 すべての調査対象者にまったく同じ形式でインタビューをする
 サーベイ調査(アンケート調査)のインタビュー
 回答者数:数百人から数千人程度
 ねらい:数量的な分析
 例:パットナム『孤独なボウリング』で用いられた世論調査のデータなど

半構造化インタビュー
 質問項目は事前に決められているが、回答の形式は決められていない(回答の仕方や内容は回答者に任せられる)。
 すべての人に事前に決めた質問項目をたずねるが、相手に合わせて質問の順番を変えたり、追加の質問をしたりする。
 回答者数:数十人から百人程度
 ねらい:質問項目ごとに各回答者の回答内容を比較して、回答内容の共通点や相違点を見いだし、回答のパターンを具体的に明らかにする
 例:質的調査のインタビューで一般的に用いられる

非構造化インタビュー
 インタビューのテーマは事前に決められているが、質問項目や回答の形式は決められていない
 相手に合わせてその場で質問項目を考えていく
 回答者数:数人から十数人程度
 ねらい:回答内容を比較して理論化を目指すよりも、インタビュイー(=インタビューされる人)一人一人の生き方や考え方などを具体的に明らかにすることに力点がある。
 例:サザーランド『詐欺師コンウェル』でのインタビュー、一般雑誌の有名人インタビューなど

グループ・インタビュー
 定められたテーマ(質問項目)について、数人で自由にディスカッションをする。
 回答者数:1グループあたり数人から十人程度。数グループに対して実施する
 ねらい:特定のテーマに関して、多様な意見・態度・アイデアなどを引き出す
 例:商品開発など


半構造化インタビューの進め方
基本姿勢──敬意と感謝
 調査者は「教わる立場」なので、相手への敬意を忘れてはならない
 調査者は「相手の好意で大切な時間を割いてもらっている」という感謝の気持ちを忘れてはならない

インタビュー前
 下調べと質問項目の作成
 じゅうぶんな下調べをして質問項目を練らないと、限られた時間のなかで必要な話を聴くことができない
 下調べが不十分だと、アポイントを取る際の説明が不十分になり、インタビューを断られる
 調べれば簡単に分かるようなことを質問するのは、失礼にあたる
 インタビューに協力してくれる人を探す
 人づてに紹介してもらう。
 自分で探す
 アポイント(インタビューの約束)を取る
 電話・手紙・電子メールなどを使う
 インタビューの目的・時間・場所・公表方法を説明する必要がある。
 紹介なしの場合は、インタビューの依頼状を郵送し、後日電話するのが丁寧
 事前に質問項目を知らせる
 インタビューを受ける側の不安や緊張をやわらげる。
 インタビュー当日までに答えを考えておいてくれることも多い。
 もっていく道具類
 ペン、ノート、質問項目リスト、ICレコーダ、下調べで集めた資料、カメラなど
 服装
 相手の服装に合わせるが、きちんとした格好でいくのが無難である。
 手土産
 必ずしも必要ないが、感謝の気持ちを表すのに便利

インタビュー中
 相手のペースに合わせてインタビューを進める
 調査者のペースだと、取り調べや尋問のようになってしまう
 インタビュイーが話し終わったことを確認してから、インタビュアーは話し始める。
 ラポール構築の4段階
 (1)不安の段階
 インタビューする人もされる人も緊張し、インタビューに不安を感じているような段階
 緊張を解くためには、はっきりした声でお礼を述べて、ゆっくりとインタビューの目的を説明していく。
 ウォーミングアップのために始めは、インタビュイーが簡単に答えられそうな質問をする
 「状況を尋ねる質問」(descriptive question)
 インタビュイーに、仕事、日常生活、印象に残った出来事、子ども時代などの様子について尋ねる
 (2)探り合いの段階
 互いにどんな人物であり、インタビューがどのような理由で、どのように進んでいくかを、理解しはじめる段階
 (3)協同の段階
 互いが相手に期待していることは何かを理解する段階
 調査の核心となる質問、インタビューが答えにくい質問などをすることができるようになる
 (4)参加の段階
 インタビュイーが、インタビュアーにものを教えるという役割を積極的に担い、インタビュアーをリードしていく段階
 質問項目の順番──相手の答えやすさを考慮して決める
 緊張をほぐすという点では、簡単に答えられそうな質問からする。
 思い出しやすさという点では、できごとの時間の流れにそって質問する。
 相手の当惑や反感を誘う質問の仕方をさける
 単刀直入に質問するのをさけて、一般化したかたちに変えて質問する
 例
 ×「 ……について、あなたはどう思いますか」
 ○「……と考える人が多いですが、このことについて、何かご意見をおもちでしょうか」
 探りを入れる質問(probe)──話を掘り下げる
 インタビュアーの質問に対して、一度で完全な回答をしてくれるインタビュイーは少ない。全体像を把握するためには、「探りを入れる質問」によって回答の足りない部分を引き出す必要がある。一つの質問項目について、数回から十数回の質問と回答のやりとりが必要になる。
 インタビュイー:○○は楽しかったですね。
 インタビュアー:○○は楽しかったんですね。それは、具体的には、どんな感じだったんですか。
 ただし、相手のようすを見ながら、あまりしつこく質問しない
 メモ
 固有名詞と数字は必ずメモする
 ストーリーのあるエピソードは忘れにくいが、固有名詞や数字は忘れやすい
 メモを取ることで誠実さや熱心さが伝わる
 インタビュイーがさらに話そうという気になる。
 録音
 インタビュイーの許可を得る
 録音を聞き直す可能性が低いとしても、可能ならば、念のため録音する
 事実関係の聴き取りを中心としたインタビューならば、録音は必ずしも必要ない
 直接には言葉に表れない言外のニュアンスまで調査に必要ならば、録音しなければならない

インタビュー後
 インタビュー中のメモを補足する
 インタビュー終了後すぐにメモの不備を補う
 インタビュー記録の作成
 落ち着いた場所で、メモを見ながらインタビューの内容を文章化する。
 文字起こし(トランスクリプトの作成)
 録音を聴きながら、一字一句そのまま文字にする。
 多大な時間と労力(インタビュー時間の数倍の時間)がかかるので、必要がある部分だけ文字起こしをする方法もある
 お礼状
 インタビュー記録の確認


インタビューは共同行為
 客観的な半構造化・非構造化インタビューはない
 インタビューで語られる内容は、インタビュアーとインタビュイーが共同して生み出したもの
 同一の人に違う人がインタビューすれば、違う内容のインタビューになる
 したがって、参与観察と同じく、調査者は、調査者自身やインタビュー方法などについて読者に説明する必要がある(リフレクシヴィティ)。
 インタビュアーがどういう人物なのか、インタビュアーとインタビューはどのような関係なのか、どのような経緯でインタビューが行われたのか、どのような状況でインタビューが実施されたのか、など
 逆に、読者は、インタビュアーとインタビュイーの関係を考慮しながら、インタビューで語られた内容を読む必要がある。


参考文献
 T・メイ(中野正大監訳), 2005, 『社会調査の考え方──論点と方法』 世界思想社.「第6章 インタビュー法──方法と手順」




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世界思想社
ティム メイ

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