多様な学び保障法を実現する会総会・公開イベント「多様な教育機会確保法を知ろう」に参加して

さる2015年7月26日に早稲田大学で開かれた「多様な学び保障法を実現する会」の第5回総会・発足3周年記念公開イベント「多様な教育機会確保法を知ろう──これまでの成果とこれからの取り組み」に参加しました。多様な教育機会確保法(案)とは、このブログでもたびたび取り上げているとおり、「様々な事情により義務教育諸学校で普通教育を十分に受けていない子供や学齢を超えた後に義務教育諸学校への就学を希望する者(当該学校での教育を十分に受けずに中学校等を卒業した者を含む)がいることを踏まえ、多様な教育機会確保のための施策を総合的に推進することを目的とする」法案です。

「多様な教育機会確保法(仮称)案」【概要】[座長試案](フリースクール全国ネットワーク)
http://freeschoolnetwork.jp/wptest/wp-content/uploads/2015/06/houangaiyou.pdf


この法案は、馳浩議員を中心に議員立法によって今国会での成立が目指されています。立法チームの座長を務める馳氏の公式ブログによると、7月24日に、法案の条文素案について文部科学省と衆議院法制局の担当者との審査がおこなわれ、7月30日開催の第7回立法チームで他の国会議員に条文素案を示す予定になっているそうです。そして、8月中に条文を練り上げて、議連(おそらく、超党派フリースクール等議員連盟と夜間中学校等義務教育拡充議員連盟のこと)での了解を取り付けたいということです。2015年5月末の段階では「6月中に条文をまとめる」という話だったので、およそ2ヶ月遅れということになります。

はせ日記「7月24日」
http://ameblo.jp/hase-hiroshi/entry-12054325509.html


一方、多様な学び保障法を実現する会(以下、実現する会)は、多様な教育機会確保法案を推進する立場にあり、6月16日には、NPO法人フリースクール全国ネットワークと共に主催団体として、「多様な教育機会確保法(仮称)制定を目指すフリースクール等院内集会」を衆議院第一議員会館で開いています。この院内集会には、多様な教育機会確保法案の議員立法を目指している超党派フリースクール等議員連盟も共催団体として名を連ねています。そして、院内集会では、「多様な教育機会確保法(仮称)の今国会での成立を期す要請文」が採択されました。また、実現する会は、2014年6月の超党派フリースクール等議員連盟の結成にも大きな役割を果たしています。

多様な学び保障法を実現する会
http://aejapan.org/wp/

多様な教育機会確保法(仮称)制定を目指すフリースクール等院内集会を開催(フリースクール全国ネットワーク)
http://freeschoolnetwork.jp/p-proposal/1125

多様な教育機会確保法(仮称)の今国会での成立を期す要請文
http://freeschoolnetwork.jp/wptest/wp-content/uploads/2015/06/0616yousei.pdf



さて、7月26日に開かれた実現する会(以下、実現する会)の総会・公開イベントについてです。およそ140名の人が参加し、13時に開始して17時20分頃までおこなわれました。NHKのテレビ取材が入っており、新聞記者の人も取材に来ているようでした。公開イベントは、NPO法人フリースクール全国ネットワークも主催団体になっています。このイベントが開かれた7月末には、多様な教育機会確保法案の具体的な条文ができているはずでしたが、条文作成の日程は2ヶ月ほど遅れており、結局、5月末に議連が発表した「座長試案」にもとづいて議論せねばならない状況でした。したがって、「法案はこうなるだろう」という推測にもとづいて説明や意見を述べざるをえないので、議論しづらいところがあったと思います。

総会・公開イベントプログラム(実現する会)
http://aejapan.org/wp/?p=482

チラシ改訂版(実現する会)
http://aejapan.org/wp/wp-content/uploads/150726new.pdf

【報告】多様な教育機会確保法を知ろう これまでの成果とこれからの取り組み(フリースクール全国ネットワーク)
http://freeschoolnetwork.jp/p-proposal/1199

当日配付資料(フリースクール全国ネットワーク)
http://freeschoolnetwork.jp/file/20150726shiryou.pdf


この公開イベントのプログラムは、二部に分かれてり、第一部は、実現する会の共同代表を務める奥地圭子氏(フリースクール等に関する検討会議委員/東京シューレ理事長)、喜多明人氏(早稲田大学教授)、汐見稔幸氏(白梅学園大学学長)の3名が、多様な教育機会確保法案について経緯・意義・論点などについて基調報告・講演をしました。15分の休憩をはさんだ第二部は、「「多様な教育機会」対話フォーラム」と題され、吉田敦彦氏(大阪府立大学副学長)の進行のもと、参加者が一人3分程度で意見を述べていきました。


基調報告・講演、参加者の意見を聴いて、私の印象に残ったのは、

(1)個別学習計画の作成と市町村教育委員会の認定という手続きに強い懸念があり、簡素で形式的な審査を望んでいる

(2)財政上の措置(経済的支援)に対する関心は薄い

という2点でした。



<(1)個別学習計画の作成と認定への懸念>

この点については、法案が通ると、個別学習計画を作る立場になる保護者から、特に強い懸念が出されました。その要旨をまとめると、

不登校の初期には、子どもも保護者も混乱していて、とても計画を立てられる状況にない。子どもには何よりも休息が必要だが、教育委員会は「何もしない」という計画を本当に認めるのか。もし教育的な計画しか認めないならば、親子ともどもその計画に縛られて、子どもをかえって追い詰める結果になってしまわないか。

というものになろうと思います。

このような懸念を、保護者の人たちは、自らの実体験とともに語ります。すなわち、子どもが不登校になった当初、現実がなかなか受け入れられず、早く何とかしようと、一緒に相談に行ったり、フリースクール等の見学に連れ回したり、通信教育の教材を取り寄せたりしたが、結局、子どもは元気にはならなかった・・・。つまり、個別学習計画への懸念の根底には、「子どもに無理強いさせてしまった」という保護者の後悔の念があります。そして、このような不安や懸念は、不登校の子どもをもつ保護者の間では広く共有されているようで、不登校の親の会などでもよく話題になるそうです。

こうした懸念は、公開イベントの参加者全員にかなり共有されていて、第二部の対話フォーラムでは、この個別学習計画の作成と認定をめぐって多くの意見が出されました。


さらに、こうした懸念は、「そもそも保護者は子どもの利益の代弁者になりえるか」というとても深い問いかけにもなります。

おかしな話かもしれませんが、不登校は、保護者による子どもの権利侵害の問題でもあります。
先にふれた「休息が必要な子どもを無理矢理連れ回す」というのも、子どもの権利侵害の一例と言えます。極端な例では、1980年代まで、家にいる子どもを数人の大人が車に乗せて、無理矢理学校へ連れていったり、精神病院に入院させたりということが行われていたと言われます。こうした子どもの権利侵害の結果の一つが、家庭内暴力に象徴されるような親子関係の悪化です。

もちろん、保護者は「子どものためによかれ」と思って、こうした行動をとっています。しかし、そうした「よかれ」と思った行動のために、親子関係がにっちもさっちも行かなくなります。保護者は、わらにもすがる思いで、相談機関を訪れたり、不登校の親の会や全国集会などに参加したりします。そこで、ようやく、「よかれ」と思ったそうした保護者の行動が子どもの権利侵害に該当し、子どもの最善の利益を子どもと対話しながら考えることの重要性に気づき、親子関係の改善に向けた第一歩が始まるのです。「登校刺激をしない」という言葉は、子どもの権利を侵害しないための実践的な戒めだと思います。

こうした不登校の黒い歴史を知っている関係者にとってみると、「保護者は子どもの利益の代弁者である」という前提に立つ多様な教育機会確保法案は、少し楽天的に映るのではないでしょうか。

法案の理念に、子どもの権利条約などが求める「子どもの最善の利益」の尊重という文言を明記すべきだという意見もありました。また、「休息の権利」(子どもの権利条約第31条)を法案に盛り込んだらどうかという意見もありました。


以上のような不安や懸念を払拭するには、(a)「個別学習計画の作成が簡単であり、なおかつ、教育的な計画でなくても市町村教育委員会が認定する」、あるいは、(b)「不登校になっても、個別学習計画を市町村教育委員会に提出せずに、これまでどおり小中学校に籍を置いたまま不登校を認める」という運用が求められます。


(a)の点について出された意見には、

・市町村教育委員会の手続きは、個別学習計画の内容を審査・認定するのではなく、要件を満たしているかのみをチェックする「認証」にすべきではないか。
・計画の審査・認定ではなく、事後評価に重点を置いてはどうか。
・そもそも学習指導要領にそった個別学習計画を求めるならば、新しく多様な教育機会確保法を作る必要はないから、個別学習計画の自由度は高いのではないか。
・市町村教育委員会が認定した個別学習計画を全国の保護者から情報収集しておき、新たに計画を作成する保護者に「認定のポイント」について情報提供したらどうか。
・外国では、ざっくりとした方向性だけを示す個別学習計画を認める事例がある。
・いずれ、個別学習計画の作成と認定は、形骸化するのではないか。

などがあったように思います。


これらの意見を聞いて、私は、「フリースクールなどがあらかじめ個別学習計画のひな形を用意しておき、保護者から作成の相談があったら、ひな形の固有名詞を変えるなどして計画を代行作成する」というやり方が一般化するのではないかと感じました。


(b)の点については、

・多様な教育機会確保法の仕組みは強制ではないので、これまでどおりの不登校(学校に籍を置いたままにする)も認められるはずだ

という説明のほか、

・そもそも多様な教育機会確保法にもとづいて個別学習計画を作成する保護者は少数ではないか

という観測もありました。


この点について、学校に籍を置いたまま不登校をすることは「制度的」には問題ないのではないかと考えています。
現行の制度では、原則、学区内の小中学校が子どもの就学校になり、保護者が申請しないかぎり就学校に変更はないからです。


しかし、「制度的」には問題がなくても、「現実的」には問題が生じるかもしれません。

例えば、自分の学校の不登校数を減らしたい校長が、保護者に、多様な教育機会確保法の手続きをして、子どもをフリースクール等へ転校させるよう促すかもしれません。現在も、学校が保護者に「再登校」を促す電話や家庭訪問をすることがあります。多様な教育機会確保法ができると、今度は逆に、学校が保護者に「転校」を促す電話や家庭訪問をするようになるかもしれません。あるいは、学校に籍を置いて不登校をする条件として、「学校復帰の努力をする」という誓約を求められるようになるかもしれません。

学歴のことを考えると、不登校になっても、「フリースクール等の卒業」ではなく「中学校卒業」を望む親子も少なからずいるように思います。文部科学省は、学校が保護者に子どもの転校を促さないよう、通知などで対処する必要があるのかもしれません(せっかくできた法律を使わないよう通知するのも、不思議な感じがしますが・・・)。


また、現在、不登校の子どもに対しておこなわれている指導要録上の出席扱い(フリースクールなど学校外の活動を校長が有益と認めると、小中学校の出席としてみなせる)や、ほとんど出席がなくても小中学校を卒業させるという取り扱いは、多様な教育機会確保法ができると、かなりやりづらくなるのではないでしょうか。

登校拒否児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/06042105/001/002/001.htm


どちらの取り扱いも、「不登校の子どもが進学や就職で不利にならないようにしてあげたいが、小中学校でしか義務教育ができない」というジレンマから生まれたいわば苦肉の策です。小中学校に行けないということは、日本の教育制度上、義務教育を受ける子どもの権利が保障されていない状態です。こうした状態を放置したまま、小中学校の「出席」や「卒業」を認めるのは、本来おかしな話です。しかし、不登校の子どもが高校等へ進学したり就職したりする際に学歴で不利益を被らないようにするという理由から、こうしたグレーゾーン的な扱いが認められているのです。

多様な教育機会確保法ができると、義務教育を受ける権利が実際には保障されていないのに保障されたことにしてしまう「不登校の子どもの出席扱いや卒業」という運用は避けることができます。公立学校の教員は公務員です。公務員は、法律にもとづいた手続きを強く求められます。したがって、公務員である公立学校の校長が、上記のような制度的に危うい運用をしたがるとは思えません。これまで、そうしたリスクを冒してきたのは、「不登校の子どもが不利にならないため」という大義名分があったからです。多様な教育機会確保法ができて、小中学校以外で義務教育が可能になると、こうした大義名分はなくなります。

このように考えると、多様な教育機会確保法ができた後に、保護者が校長に「出席扱い」をお願いすると、校長から保護者に「個別学習計画を市町村教育委員会に提出してフリースクール等への転校」を勧められるでしょう。転校すれば、「中学校卒業」とはなりません。また、15歳になった不登校の子どもをもつ保護者が校長に「中学校卒業」をお願いしても、卒業は認められず、校長から保護者に「個別学習計画を市町村教育委員会に提出して夜間中学校等への転校」を勧められるようになるかもしれません。

今回の多様な教育機会確保法は、15歳以上でも義務教育を保障できるように、夜間中学校の促進も目指しています。



<(2)財政上の措置(経済的支援)への関心の薄さ>

多様な教育機会確保法案に私がもっとも期待するのは、この「財政上の措置」です。しかし、今回、参加者から、この点についてほとんど意見が出ませんでした。

民間のフリースクール等の授業料は、平均すると、月に3~5万円ほどになると思います。この金額を毎月支払うのは、保護者にとって決して楽ではないはずです。公立の小中学校に通っていれば授業料は無償だったのに、子どもが不登校になったばかりに、こうした経済的負担を保護者が負うことになります。子どもも、親にそうした経済的負担を強いることに引け目を感じています。

フリースクール全国ネットワークが加盟団体におこなった「2013年度フリースクール等基本調査・速報」(2015年1月10日、回収率64.3%)によると、「フリースクールの月会費」(回答49団体)の回答結果は以下の通りとなっています。

無し 4.08%
~5000円 4.08%
~10000円 12.24%
~30000円 32.65%
~50000円 42.56%
50001円~ 4.08%

フリースクール全国ネットワーク加盟団体
http://freeschoolnetwork.jp/member


文部科学省は、1992年に、不登校が「特定の子どもに特有の問題があることによって起こることではなく、どの子どもにも起こりうること」と認めています。どの子どもにも起こりうる不登校になると、本来無償だったはずの義務教育が有償になってしまうのです。これは「不公平」としか言いようがありません。

不登校への対応の在り方について(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/021.htm


月に数万円の授業料を受け取っても、どこのフリースクール等でもスタッフの給料は安いです。それは、スタッフの人たちが、不登校になると、家庭が何かとたいへんなのをよく知っているからです。自分たちの給料を削ってでも、子どもには、親に引け目を感じずに楽しく通ってほしいと願っているからこそです。

ちなみに、先に紹介した「2013年度フリースクール等基本調査・速報」によると、「平均的な常勤有給スタッフの給与」(回答42団体)の回答結果は以下の通りとなっています(給与額は年間)。

50万円未満 16.33%
50~100万円 2.04%
100~200万円 32.65%
200~300万円 22.45%
300~400万円 12.24%
400万円以上 0%


それにも関わらず、参加者から、財政上の措置(経済的支援)を求める声はほとんどありませんでした。


ところで、公立小中学校の授業料が無料なのは、教員の人件費や施設費などが税金から支払われているからです。

平成26年度「地方教育費調査」中間報告(2015年6月25日公表)によると、子ども一人あたり年間の学校教育費(2013年度)は、

公立小学校 91万2040円(消費的支出のみで73万2772円)
公立中学校 104万3481円(消費的支出のみで82万8323円)

となっています。
つまり、子ども一人あたり年間100万円ほどの税金が、子どもが小中学校に通うために費やされているのです。月額でいうと、8万円あまりです。

地方教育費調査(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/index05.htm

報道発表「平成26年度地方教育費調査の中間報告について」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/005/__icsFiles/afieldfile/2015/06/30/1358907_4.pdf


逆に言うと、不登校をして1年間小中学校に行かないと、100万円ほどの税金が、その不登校の子どもの育ちや学びのために使われないということです。

もし小学校1年生から中学校3年生までの9年間、まったく学校に行かなかったならば、合計900万円の税金を使ってもらえなかったということです。

そして、不登校になって学校外で育つということは、これらの税金を保護者が肩代わりするということでもあります。


このような不登校にともなう保護者の経済的負担は、「義務教育は無償」とうたう憲法第26条の規定から考えて、やはり不公平だと思うのです。


多様な教育機会確保法案に私が期待したのは、学校教育に使われている一人あたり年額100万円の税金を、不登校の子どもが学校外で育ち・学ぶために使えるようにならないかということでした。

つまり、この100万円は、その不登校の子どもの義務教育を受ける権利のために使われなかったのだから、子どもに返金してあげるということです。そして、返金された100万円は、作成された個別学習計画にもとづいて、義務教育を受ける権利を保障するために有効に活用していこうということです。

この100万円があれば、不登校の子どもが民間のフリースクール等へ「無償」で通うことができ、不登校にともなう保護者の経済的負担の不公平は解消されるのです。


ちなみに、仮に、不登校の児童生徒12万人に100万円ずつ返金すると、年間1200億円という金額になります。
1200億円という金額は、けっして小さくありません。しかし、先に紹介した2014年度の地方教育費調査中間報告によれば、学校教育費は前年度と比べて2147億円減少しています。
1200億円という数字は、けっして捻出できない金額ではないように思えます。


しかし、多様な教育機会確保法ができても、こうした財政上の措置は、すぐには期待できそうにありません。


このブログ記事の最初にURLを示した多様な教育機会確保法の座長試案には、

「○財政上の措置等
・国及び地方公共団体は、多様な教育機会確保のための施策を推進するために必要な財政上の措置その他の必要な措置を講じるよう努めるものとする。」(1頁)

と、努力義務規定になっています。こうした書き方では、「努力さえしていれば、結果が出なくてもしかたがない」ということになってしまいかねません。


座長試案2頁には、

「経済的支援
家庭に対する経済的な支援を行う。
※具体的な仕組みはさらに検討。」(2頁)

と書かれています。


また、今回の公開イベント前半の第一部で、実現する会共同代表の奥地圭子氏は、座長試案の「財政上の措置」について、

「努める」という表現では「逃げられる」という意見もあった。しかし、これまで学校外の教育に公費支出をすることはまったく認められてこなかった。だから、この「努める」という表現を足場に、どんどん広げていけばいい。

という趣旨の説明をしていました。フリースクール等に関する検討会議の委員も務める奥地氏も、多様な教育機会確保法の成立と同時に十分な財政上の措置があるとは思っていないように、私には聞こえました。

フリースクール等に関する検討会議
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/107/


私立学校へ財政上の措置(私学助成)をおこなうのに「私立学校振興助成法」という法律があります。まったくの私の推測にすぎませんが、多様な教育機会確保法ができた後に、私立学校における私立学校振興助成法に該当する「多様な教育機会振興助成法」のような法律を別のつくるという青写真があるのかもしれません。つまり、今回は、とにかく、多様な教育機会確保法の成立を急ぎ、財政上の措置はその後に別に法律をつくるという「2段構え」ということです。

私立学校の振興(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/main5_a3.htm

私立学校振興助成法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S50/S50HO061.html


財政上の措置について、もしこういう2段構えの青写真があるということならば、奥地氏の説明や座長試案2頁の「家庭に対する経済的な支援を行う。※具体的な仕組みはさらに検討。」という文言も、腑に落ちます。


ただし、この財政上の措置を規定した法律は、できるだけ早く成立させる必要があるのではないでしょうか。

もし財政上の措置がないとすると、この多様な教育機会確保法は、ただ単に保護者に個別学習計画の手間を増やすだけのものになってしまいかねません。




新しい法律ができて、制度が変わると、多くの人びとが影響を受けます。多様な教育機会確保法の理念には賛同できても、具体的な制度設計の段になって「やはり賛成できない」ということは、当然ありうることです。

「座長試案」だけはなかなか議論しづらいところではありますが、特例とはいえ「義務教育を学校外に開く」という重大な制度変更をともなう法律なので、今後も経過を見守っていきたいと思います。





<高山龍太郎のブログより>

多様な教育機会確保法の条文案(未定稿)における「個別学習計画の支援・勧告・修了」と「就学義務の履行」
http://r-takayama.at.webry.info/201508/article_6.html

多様な教育機会確保法の条文案(2015年8月11日付け未定稿)における「個別学習計画の認定と修正」
http://r-takayama.at.webry.info/201508/article_5.html

多様な教育機会確保法の条文案(未定稿)における「基本指針」と「多様な教育機会の確保に関する施策」
http://r-takayama.at.webry.info/201508/article_4.html

多様な教育機会確保法の条文案(未定稿)における「国と地方公共団体の責務」と「財政上の措置等」
http://r-takayama.at.webry.info/201508/article_3.html

多様な教育機会確保法の条文案(2015年8月11日付け未定稿)における「目的」と「基本理念」
http://r-takayama.at.webry.info/201508/article_2.html

多様な教育機会確保法における財政上の措置の必要性
http://r-takayama.at.webry.info/201508/article_1.html

多様な学び保障法を実現する会総会・公開イベント「多様な教育機会確保法を知ろう」に参加して
http://r-takayama.at.webry.info/201507/article_5.html

教育支援センター実態調査にみる地域格差──第7回不登校に関する調査研究協力者会議①
http://r-takayama.at.webry.info/201507/article_4.html

多様な学び保障法を実現する会「多様な教育機会確保法を知ろう」(2015年7月26日、東京都新宿区)
http://r-takayama.at.webry.info/201507/article_3.html

多様な教育機会確保法案は就学校指定制度の拡大である
http://r-takayama.at.webry.info/201507/article_1.html

多様な教育機会確保法(仮称)制定を目指すフリースクール等院内集会に参加して
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_6.html

「多様な教育機会確保法(仮称)案」における不登校支援の仕組み
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_5.html

「多様な教育機会確保法(仮称)案」の概要
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_4.html

フリースクール等を義務教育として認めてもよいと考える保護者は63.2%──義務教育に関する意識調査
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_3.html

黒柳徹子著『窓ぎわのトットちゃん』とフリースクール
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_2.html

多様な教育機会確保法(仮称)制定を目指すフリースクール等院内集会2015年6月16日東京都千代田区
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_1.html

不登校に関する調査研究協力者会議「不登校児童生徒への支援に関する中間報告<たたき台>」
http://r-takayama.at.webry.info/201505/article_1.html







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