多様な教育機会確保法(仮称)制定を目指すフリースクール等院内集会に参加して

2015年6月16日(16時~17時)、衆議院第一議員会館多目的ホールで開かれた「多様な教育機会確保法(仮称)制定を目指すフリースクール等院内集会」(主催:NPO法人フリースクール全国ネットワーク、多様な学び保障法を実現する会、共催:超党派フリースクール等議員連盟)に参加しました。参加者は約200名、国会議員も十数名の参加がありました。参加希望者多数で、会場に入れない人もいたようです。マスコミも10社ほど来ていたようで、テレビカメラでの撮影もありました。


※当日の概要やプログラム、法案概要、要請文等は下記を参照

多様な教育機会確保法(仮称)制定を目指すフリースクール等院内集会を開催(NPO法人フリースクール全国ネットワーク)
http://freeschoolnetwork.jp/p-proposal/1125

「フリースクールなど義務教育に」訴え(NHK、6月17日4時00分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150617/k10010117111000.html

「多様な教育機会確保法(仮称)制定を目指すフリースクール等院内集会」に出席していた国会議員
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_7.html


フリースクール全国ネットワーク
http://freeschoolnetwork.jp/

多様な学び保障法を実現する会
http://aejapan.org/wp/



さて、この院内集会の趣旨は、私の見たところ、「法案への賛意を示すことで、今国会での成立を目指す議員たちを励まし、あわせて要望も伝えていく」とまとめられると思います。


当日、会場で配布された資料には、主催団体を代表して奥地圭子氏の「ごあいさつ」が掲載されています。その挨拶は、

「ふりかえれば、フリースクールとしては、誕生した30年前から、学校以外の場への理解と支援を求め活動してきた歴史があります。フリースクール全国ネットが誕生したその時から15年、多様法を実現する会結成からも3年、やっと、根拠になる法律ができるということは、万感胸に迫るものがあります。
 本日は、一刻も早く子どもの幸せを願う気持ちから、「多様な教育機会確保法(仮称)」の今国会での成立を期して、この集会を開催いたします。議員の皆様の一層のご理解とご奮闘をお願いし、法案成立に向けてのご尽力を期待しております。」(配付資料2頁)

と結ばれています。


また、こうした法案への最大級の賛意は、院内集会の中頃に、奥地氏によって読み上げられ、会場の大きな拍手とともに採択された「多様な教育機会確保法(仮称)の今国会での成立を期す要請文」(主催2団体の連名)のなかにも見られます。

「1. この法案の目的及び基本理念は大変良くできており、ひとりひとりの子どもの多様な学びを支援すること、国の責務が明記されたこと、基本方針を定める際、民間団体その他の関係者の意見も聞く、と位置付けられたことなど高く評価しております。なかでも、学校以外の場で学習することが正式に認められようとしていることは、いじめその他様々な事情で不登校となっている子どもとその保護者にとって、学び場が多様な教育機会の中から選べることになり、教員も無理に学校へ戻すのでなく、その子にあった選択を共に考えることになり、子どもの学ぶ権利がより前進すると考えられ、大変歓迎しております。」(要請文1頁)

多様な教育機会確保法(仮称)の今国会での成立を期す要請文(NPO法人フリースクール全国ネットワーク)
http://freeschoolnetwork.jp/wptest/wp-content/uploads/2015/06/0616yousei.pdf


ちなみに、法案(座長試案)の目的及び基本理念は、次のように書かれています。

「○目的及び基本理念
〔目的〕
 この法律は、様々な事情により義務教育諸学校で普通教育を十分に受けていない子供や学齢を超えた後に義務教育諸学校への就学を希望する者(当該学校での教育を十分に受けずに中学校等を卒業した者を含む)がいることを踏まえ、多様な教育機会確保のための施策を総合的に推進することを目的とする。
〔基本理念〕
 多様な教育機会確保のための施策は、教育基本法の精神に則り、様々な事情により義務教育諸学校で普通教育を十分に受けてない子供や学齢超過後に就学を希望する者が、年齢又は国籍にかかわらず、義務教育の段階における普通教育を受ける機会を与えられるようにすることを旨として行われなければならない。」(「多様な教育機会確保法(仮称)案」【概要】[座長試案])

「多様な教育機会確保法(仮称)案」【概要】[座長試案]
http://freeschoolnetwork.jp/wptest/wp-content/uploads/2015/06/houangaiyou.pdf



このように、フリースクール等の関係者たちは、「多様な教育機会確保法(仮称)案」の成立に大きな期待を抱いています。


ところで、この法案は、今国会での成立が目指されていますが、具体的な条文が明かになっているわけではありません。公になっているのは、上記の「座長試案」として示された3枚の紙だけです。院内集会参加者のなかには、未確定な部分が多数残っている段階で強い賛同を示すことに対して危惧する声もありました。それには、私も同感するところがあります。

しかし、多様な教育機会を確保する責務を国に負わせる法律がなければ、国が動かないのも事実だろうと思います。また、国に責務を負わす法律がなければ、予算もつかないでしょう。

確かに、見切り発車という感は否めませんが、「具体的な制度設計は後回しにして、とにかく、国を動かす根拠となる法律を成立させる」というところに、今回の院内集会の総意があったのだろうと思います。

このような総意からすれば、「多様な教育機会確保法(仮称)案」は、具体的な制度設計については何も書かず、目的や基本理念、国の責務、経済的支援などを抽象的に規定するだけのほうが、かえって良いのかもしれません(例えば、上記3枚組の「座長試案」のうち、1枚目のみを条文化し、2枚目と3枚目の模式図はいったん白紙にして、後の具体的な制度設計の議論に委ねる)。


このように考えると、仮にこの法案が成立したとしても、それはあくまでスタートすぎません。本当の正念場は、法案成立後の「具体的な制度設計をめぐるやりとり」です。制度設計がうまくいかなければ、当然、今より状況が悪くなる可能性があります。

そうした議論の場の一つとして候補にあがるのが、2015年1月から文部科学省で開催されている「フリースクール等に関する検討会議」です。今回の院内集会を主催した2団体の代表を務める奥地圭子氏も、この検討会議の委員です。

フリースクール等に関する検討会議(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/107/

資料1 フリースクール等に関する検討会議について(委員名簿を含む)(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/107/shiryo/attach/1355627.htm


具体的な制度設計の段階では、さまざまな思惑や利害が対立することが予想されます。その対立を調整することは、けっして容易ではないでしょう。まさに正念場は、法案成立後におとずれるのだろうと思います。


<追記>
院内集会での発言は、フリースクール全国ネットワークが文字おこしをおこなって、下記で公開しています。
http://freeschoolnetwork.jp/wptest/wp-content/uploads/2015/06/rewrite.pdf


また、院内集会の音声ファイルが下記で公開されています。

多様な教育機会確保法(仮称) 制定をめざすフリースクール等院内集会 音声ファィルほぼノーカット版(鳴かず飛ばず働かず──ひきこもり名人、勝山実。生涯、半人前でいい)
http://ponchi-blog.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-8674.html





<高山龍太郎のブログより>

多様な教育機会確保法の条文案(未定稿)における「個別学習計画の支援・勧告・修了」と「就学義務の履行」
http://r-takayama.at.webry.info/201508/article_6.html

多様な教育機会確保法の条文案(2015年8月11日付け未定稿)における「個別学習計画の認定と修正」
http://r-takayama.at.webry.info/201508/article_5.html

多様な教育機会確保法の条文案(未定稿)における「基本指針」と「多様な教育機会の確保に関する施策」
http://r-takayama.at.webry.info/201508/article_4.html

多様な教育機会確保法の条文案(未定稿)における「国と地方公共団体の責務」と「財政上の措置等」
http://r-takayama.at.webry.info/201508/article_3.html

多様な教育機会確保法の条文案(2015年8月11日付け未定稿)における「目的」と「基本理念」
http://r-takayama.at.webry.info/201508/article_2.html

多様な教育機会確保法における財政上の措置の必要性
http://r-takayama.at.webry.info/201508/article_1.html

多様な学び保障法を実現する会総会・公開イベント「多様な教育機会確保法を知ろう」に参加して
http://r-takayama.at.webry.info/201507/article_5.html

教育支援センター実態調査にみる地域格差──第7回不登校に関する調査研究協力者会議①
http://r-takayama.at.webry.info/201507/article_4.html

多様な学び保障法を実現する会「多様な教育機会確保法を知ろう」(2015年7月26日、東京都新宿区)
http://r-takayama.at.webry.info/201507/article_3.html

多様な教育機会確保法案は就学校指定制度の拡大である
http://r-takayama.at.webry.info/201507/article_1.html

多様な教育機会確保法(仮称)制定を目指すフリースクール等院内集会に参加して
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_6.html

「多様な教育機会確保法(仮称)案」における不登校支援の仕組み
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_5.html

「多様な教育機会確保法(仮称)案」の概要
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_4.html

フリースクール等を義務教育として認めてもよいと考える保護者は63.2%──義務教育に関する意識調査
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_3.html

黒柳徹子著『窓ぎわのトットちゃん』とフリースクール
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_2.html

多様な教育機会確保法(仮称)制定を目指すフリースクール等院内集会2015年6月16日東京都千代田区
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_1.html

不登校に関する調査研究協力者会議「不登校児童生徒への支援に関する中間報告<たたき台>」
http://r-takayama.at.webry.info/201505/article_1.html







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