フリースクール等を義務教育として認めてもよいと考える保護者は63.2%──義務教育に関する意識調査

このブログでも取り上げたとおり、現在、不登校をめぐる支援方法や制度改革について議論が繰り広げられています。

不登校に関する調査研究協力者会議「不登校児童生徒への支援に関する中間報告<たたき台>」
http://r-takayama.at.webry.info/201505/article_1.html

多様な教育機会確保法(仮称)制定を目指すフリースクール等院内集会2015年6月16日東京都千代田区
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_1.html


その議論の主役の一人が「フリースクール」です。

黒柳徹子著『窓ぎわのトットちゃん』とフリースクール
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_2.html


制度改革によって、フリースクール等の民間施設への通所が保護者の就学義務履行と認められるかどうかが、一つの焦点になっています。
下記URLの「就学義務とは」の欄に「なお、インターナショナルスクール又はいわゆるフリースクールなどへの就学については現行制度では学校教育法第1条に定める学校への就学とは異なり、就学義務を履行していることにはなりません。」と断り書きがあるように、フリースクール等で就学義務を履行することは認められていません。

小・中学校への就学について(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shugaku/


しかし、こうしたフリースクール等の民間施設が義務教育制度を補完する重要な役割を担っていることは文部科学省も認めていて、一定の条件のもと、民間施設への通所が小中学校の出席として認められます。

登校拒否児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/06042105/001/002/001.htm


また、2005年10月26日の中央教育審議会「新しい時代の義務教育を創造する(答申)」でも、フリースクールへの言及があります。「第1章 教育の目標を明確にして結果を検証し質を保証する──義務教育の使命の明確化及び教育内容の改善」の「(3)義務教育に関する制度の見直し」に、「・不登校への対応を考えるに当たっては、不登校児童生徒の減少に成功した学校の取組例を参考にすることも重要である。さらに、不登校等の児童生徒について、一定の要件のもとで、フリースクールなど学校外の教育施設での学修を就学義務の履行とみなすことのできる仕組み等について検討することも求められる。」と書かれています。

中央教育審議会「新しい時代の義務教育を創造する(答申)」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1212703.htm

江澤和雄, 2006, 「不登校の問題から見た義務教育の当面する課題」『レファレンス』(国立国会図書館調査及び立法考査局) 666: 76-93.
http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/refer/200607_666/066604.pdf



さて、フリースクール等を義務教育として認めることに、世論は賛成でしょうか反対でしょうか。


上記の義務教育をめぐる中教審の審議と平行して、文部科学省の委託をうけたベネッセコーポレーションが「義務教育に関する意識調査」(2005年11月)を実施しています。調査目的は、「全国の小・中学生、保護者、小・中学校教員、小・中学校評議員、都道府県及び市区町村の教育長と首長を対象に、義務教育に関する評価や期待、子どもの家庭での生活状況等に関して質問紙調査を行い、中央教育審議会で行われている義務教育改革に係る審議の検討資料とすること」(同報告書3頁)と書かれています。

平成16・17年度文部科学省委嘱調査「義務教育に関する意識調査」報告書 [2005年](ベネッセ教育総合研究所)
http://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=3320


このうち保護者調査は、全国の公立小・中学校に通う子ども(小学1年生~中学3年生)をもつ保護者を対象に、全国の公立小・中学校のリストから無作為に抽出した小学校15校と中学校10校において、学校通しによる自記式質問紙調査でおこなっています。調査時期は2005年3月、有効回収数は6742通(回収率68.5%)となっています。サンプリング法や回収率からは、調査精度の高さがうかがえますが、回答者の「9割が母親」である点は、結果を見る際に注意が必要だと思います。


「不登校の子どものためのフリースクール等を義務教育として認める」という質問項目は、「7 あなたは、現在の教育改革で取り入れられたり検討されたりしている次のような取り組みについて、 賛成ですか反対ですか。」の「2)教育制度に関して」の8番目の項目としてたずねられています。回答の選択肢は、「賛成」「まあ賛成」「どちらともいえない」「まあ反対」「反対」「よくわからない」の6つです。

保護者の回答割合(%)は、「賛成29.5」「まあ賛成33.7」「どちらともいえない22.5」「まあ反対2.5」「反対2.5」「よくわからない6.9」「無答・不明1.6」でした(同報告書123頁)。

つまり、賛成派(容認派?)は、63.2%となり、半数を超えます。

画像

数値は左から「賛成」「まあ賛成」「どちらともいえない」「まあ反対」「反対」「よくわからない」「無答・不明」の値(%)。サンプル数は、小学生3350 名、中学生2924 名、保護者6742 名、学校評議員808 名、一般教員1689 名、校長・教頭は「校長」360 名と「教頭・副校長」372 名、教育長1,038 名、首長785 名。
(出典:「義務教育に関する意識調査」(平成16・17年度文部科学省委託調査報告書、ベネッセコーポレーション2005年11月)123頁より転載)
http://berd.benesse.jp/berd/center/open/report/gimukyouiku_ishiki/2007/pdf/houkoku.pdf、2015年6月5日閲覧



質問文が「不登校の子どものための」という形容詞句がついているので、「不登校」という言葉に回答が影響を受けていることが推測されます。また、回答者がフリースクール等についてどれだけ詳しく知っているかも、慎重に考えねばなりません。しかし、かなりの割合の保護者(母親)が、フリースクール等に肯定的だと言ってよいのではないでしょうか。


「不登校の子どものためのフリースクール等を義務教育として認める」という質問項目は、学校評議員、一般教員、校長・教頭、教育長、首長にもたずねています。

賛成派の割合は、学校評議員62.5%、一般教員56.3%、校長・教頭54.5%、教育長43.6%、首長50.7%となっており、いちばん賛成派の少ない教育長を除くと、いずれも賛成派が過半数となっています。



10年ほど前の調査なので、現在、同様の調査をやったら、違う結果が出るかもしれません。
しかし、フリースクール等を義務教育として認めることに対する世論の動向を知る貴重な調査結果だと思われます。



<高山龍太郎のブログより>

多様な教育機会確保法の条文案(未定稿)における「個別学習計画の支援・勧告・修了」と「就学義務の履行」
http://r-takayama.at.webry.info/201508/article_6.html

多様な教育機会確保法の条文案(2015年8月11日付け未定稿)における「個別学習計画の認定と修正」
http://r-takayama.at.webry.info/201508/article_5.html

多様な教育機会確保法の条文案(未定稿)における「基本指針」と「多様な教育機会の確保に関する施策」
http://r-takayama.at.webry.info/201508/article_4.html

多様な教育機会確保法の条文案(未定稿)における「国と地方公共団体の責務」と「財政上の措置等」
http://r-takayama.at.webry.info/201508/article_3.html

多様な教育機会確保法の条文案(2015年8月11日付け未定稿)における「目的」と「基本理念」
http://r-takayama.at.webry.info/201508/article_2.html

多様な教育機会確保法における財政上の措置の必要性
http://r-takayama.at.webry.info/201508/article_1.html

多様な学び保障法を実現する会総会・公開イベント「多様な教育機会確保法を知ろう」に参加して
http://r-takayama.at.webry.info/201507/article_5.html

教育支援センター実態調査にみる地域格差──第7回不登校に関する調査研究協力者会議①
http://r-takayama.at.webry.info/201507/article_4.html

多様な学び保障法を実現する会「多様な教育機会確保法を知ろう」(2015年7月26日、東京都新宿区)
http://r-takayama.at.webry.info/201507/article_3.html

多様な教育機会確保法案は就学校指定制度の拡大である
http://r-takayama.at.webry.info/201507/article_1.html

多様な教育機会確保法(仮称)制定を目指すフリースクール等院内集会に参加して
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_6.html

「多様な教育機会確保法(仮称)案」における不登校支援の仕組み
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_5.html

「多様な教育機会確保法(仮称)案」の概要
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_4.html

フリースクール等を義務教育として認めてもよいと考える保護者は63.2%──義務教育に関する意識調査
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_3.html

黒柳徹子著『窓ぎわのトットちゃん』とフリースクール
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_2.html

多様な教育機会確保法(仮称)制定を目指すフリースクール等院内集会2015年6月16日東京都千代田区
http://r-takayama.at.webry.info/201506/article_1.html

不登校に関する調査研究協力者会議「不登校児童生徒への支援に関する中間報告<たたき台>」
http://r-takayama.at.webry.info/201505/article_1.html







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