国際比較調査の進め方──国際社会学I2012年5月15日

これまでの授業では、WVS、ISSP、EASS、SSMという四つの国際的な調査プロジェクトを紹介してきました。5月15日の授業からは、「そうした調査がどのように実施されるのか」「その際の留意点はどういうものなのか」などの方法論について話していく予定です。5月15日の授業は、国際比較調査のプロセスについて、その全体像を吉野諦三・林文・山岡和恵『国際比較データの解析──意識調査の実践と活用』(朝倉書店2010年)を参考にしながら説明しました。次回からは、その調査プロセスの各論について詳しく見ていく予定です。


講義ノートはこちら(MS Word, 24Kb)
http://dl.dropbox.com/u/22647991/20120515%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E5%AD%A6I%EF%BC%88%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E6%AF%94%E8%BC%83%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%81%AE%E9%80%B2%E3%82%81%E6%96%B9%EF%BC%89.docx

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講義ノートテキスト版
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20120515国際社会学I(国際比較調査の進め方)

国際比較調査の進め方

これまで授業で紹介した国際的な社会調査の共通点
(1) 言語や文化などが異なる複数の国々の比較を意図している
 比較の問題
(2) 1000人規模の回答者を選ぶ標本調査になっている
 回答者をサンプリングする際の問題
(3) 質問文と回答選択肢などが記載された調査票(質問紙)をもちいている
 回答者とのコミュニケーションの問題
(4) データの分析は主に数量的な方法でおこなわれる
 データ分析の問題
 以上の(2)~(3)の特徴をもつ調査を「ソーシャル・サーベイ」(Social Survey)と呼ぶ
 別名:「調査票調査」「質問紙調査」など
 「アンケート」という呼び方について
 「標本抽出理論に基づいて回答者を選んだ調査ではないものを「アンケート調査」もしくは「アンケート」と称する。」(吉野ほか 2010: 14)
 以下では、上記4点の特徴をもつ国際的なソーシャル・サーベイを「国際比較調査」と呼ぶ


国際比較調査の手順(吉野ほか 2010: 39-69)
(1) 調査票の作成
 調査項目の選定
 調査テーマに関連する国内外の調査資料の収集
 調査項目のカルテ(履歴)
 自分たちが調べようとしている調査項目について、過去の調査から、質問文、回答選択肢、結果の概要などを抜き書きしてカルテにする
 調査票の作成
 本問、提示カード、フェイス・シート
(2) 国際比較可能な外国語調査票の作成
 翻訳と再翻訳(バック・トランスレーション)
(3) 標本調査法の確定
 標本抽出(サンプリング)の実践の詳細の確定
 調査モード(面接調査、留置自記式調査、電話調査、郵送調査など)決定
(4) 調査機関の選定
 実際に回答者から回答を得る作業(実査)は、専門の調査機関に実施を委託する
(5) 小標本による予備調査
 調査担当者との本調査のための最終打ち合わせ(ブリーフィング)
 予備調査の遂行と調査員からのディ・ブリーフィング
 調査票の最終確定
(6) 調査実施とデータ回収
 データ・クリーニング
 PC磁気媒体への入力データと回収原票との対照、回答者の属性の一貫性確認など
(7) データ解析と報告書作成
 集計表の作成
 単純集計表
 性別、年齢層、学歴、職業別、世帯収入層別などの属性別単純集計表
 各属性と各質問項目のクロス表(性別集計、年齢層別集計など)
 二つの属性と書く項目との3重クロス集計表(性別と年齢層と各項目のクロスなど)
 複数の項目群の多次元データ解析(林の数量化III類など)


参考文献
 吉野諦三・林文・山岡和恵, 2010, 『国際比較データの解析──意識調査の実践と活用』朝倉書店






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