ウィルソン『アメリカ大都市の貧困と差別』1996年②──地域社会学II2011年11月9日

文字数が多かったようで、一つの記事に収まりませんでした。ウィルソン『アメリカ大都市の貧困と差別』の続きです。ただし、以下の内容は、時間が足りなかったため、授業で詳しくふれることができませんでした。

①はこちら
http://r-takayama.at.webry.info/201111/article_2.html


講義ノートはこちら(MS Word, 51Kb)
https://1drv.ms/w/s!Au4k6YKQM1eZ90PDd_erZVQq2Na8


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講義ノートテキスト版(づづき)
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『アメリカ大都市の貧困と差別』の元になった3つの調査の詳細
(1)シカゴの都市の貧困および家族生活に関する調査(UPFLS: Urban Poverty and Family Life Study)
 (1-1)大規模な都市中心部住民調査
 手法:サーベイ調査
 回答者の自宅における面接
 英語とスペイン語の調査票を使用
 時期:1987年と1988年
 サンプル:層化された確率サンプル(ランダム・サンプリング)3165名
 回答者数:2490名(回答率78.7%)
 男性918名、女性1572名
 黒人1183名(回答者の47.5%)、メキシコ系489名(19.6%)、プエルトリコ系454名(18.2%)、白人364名(14.6%)
 調査員:全米世論調査センター(NORC: National Opinion Research Center)のスタッフ
 調査時間:1人あたり平均2時間弱
 調査項目
 世帯の所得と構成、家族の背景、態度、社会的ネットワーク
 雇用、教育、公的扶助、出産、移住、兵役、拘禁、人的関係(親かどうか、既婚か未婚か、同居の有無)
 (1-2)社会的機会調査
 上記のサーベイ調査の一部としておこなう
 手法:自由回答形式(半構造化インタビュー?)、録音あり
 調査時間:平均1時間のインタビュー
 サンプル:もっとも貧しい国勢調査区に住む?名
 割当法(黒人:メキシコ系:プエルトリコ系:白人=4:2:2:1、既婚:非婚=1:1、雇用:失業=1:1、男性:女性=1:1)
 回答者数:167名
 アフリカ系(女63名、男34名)、メキシコ系(女17名、男14名)、プエルトリコ系(女11名、男3名)、白人(女20名、男5名)
 調査項目
 機会と流動性、職歴と意見、教育と子どもへの期待、世帯構成、社会階級、収入
 調査員による観察
 (1-3)民族誌的なフィールド調査
 調査地:黒人・メキシコ系・プエルトリコ系・白人のいずれかが集中する貧しい都市の居住区。アッシリア系移民の居住区。貧しい黒人の郊外の居住区。
 調査員:大学院生
 調査時期:1986年・87年の夏にフルタイムでフィールド調査をおこない、大学のある時期はパートタイムで研究を継続する
 (1-3-1)集中的な事例研究
 99人のインフォーマントとの会話にもとづく
 1人のインフォーマントにつき平均して約6回のインタビューをする
 会話を録音
 合計600回近くの事例研究ファイルが得られた
 (1-3-2)居住区への参与観察
 インフォーマルな観察
 路上でのインフォーマルな会話
 人が集まる場所(レクリエーション、社会事業、施設など)で人びととやりとりしながら、行動を観察する
 事例研究でインタビュー人から他の人や活動を紹介してもらう
 (1-4)雇用者調査
 半構造化インタビュー
 選択的回答法と自由回答法の両方
 調査対象:シカゴとクック郡郊外の雇用者(会社経営者)
 サンプル:会社の業種・規模・立地によって層化してサンプリング(割当法?)。400社
 回答してくれた会社の数:180社(回答率45%)
 調査時間:1時間
 調査項目
 雇用と新規採用の慣行、都市中心部の労働力に関する認識、など
 「もっとも典型的な初任レベルの職」に焦点の一つを合わせた

(2)オークランドおよびウッドローン居住区研究
 (2-1)コミュニティ住民調査
 面接によるサーベイ調査
 調査地:オークランド地区およびウッドローン地区
 両地区とも、シカゴのサウスサイドにある失業者の多い地区
 調査時期:1993年9月1日から11月30日
 サンプル
 街区ごとに回答者数を割り当て?
 ウッドローン250人、オークランド250人。合計500人
 圧倒的多数はアフリカ系アメリカ人。男女比は同一。
 調査員:民間の非営利研究組織であるメトロ・シカゴ情報センター(MCIC)のスタッフ
 調査票
 都市不平等研究センター、コミュニティ再活性化・再開発基金、メトロ・シカゴ情報センターの研究スタッフが協力して作成。
 自由回答形式と選択的回答形式の約30問
 調査時間:約15分
 調査項目
 回答者の生活の質、コミュニティの主な長所と短所、既存のコミュニティの資源(社会福祉サービス、住宅サービス、雇用サービス)に対する感想、準民個人に対するコミュニティの経済発展の影響、コミュニティの将来に関する懸念、など
 (2-2)フォーカス・グループ
 6つのグループで討論を実施
 サンプル
 オークランド(25人)
 成人グループ、高校生グループ、公的扶助受給者グループ
 ウッドローン(20人)
 成人グループ、高校生グループ、元住民グループ
 両地区にある19の組織と接触し、討論参加者を紹介してもらう(機縁法)
 司会が論題を提示して討論1時間半から2時間討論する

(3)危険率の高い居住区が青年の社会的発達に及ぼす影響に関する研究
 危険度の高い地区における居住区が青年に及ぼす社会的影響を検討
 調査地:シカゴの貧しい黒人居住区、非貧困(労働者・中産階級)の黒人居住区
 調査期間:1989年から90年
 サンプル:母親(または主たる養育者)1人、および、その子ども(11歳から16歳)2人
 サンプル全体:58の居住区から546世帯と887人の青年
 稿度貧困サンプル:163世帯と273人の青年
 居住区の社会的不利益の尺度を構成
 国勢調査による4つの指標
 貧困、居住の流動性、家族構成(片親家庭の割合)、民族的多様性
 親へのインタビューにおける居住区の社会組織に対する3つの評価基準
 居住区の統制(非公式および公式の制度的統制)
 社会的統合(コミュニティの組織・活動および組織的結合性)
 非公式のネットワーク(居住区における友人と家族)


原典
 ウィリアム・J・ウィルソン, 1999, 『アメリカ大都市の貧困と差別──仕事がなくなるとき』(川島正樹・竹本友子訳)明石書房.

参考文献
 平川茂, 2010, 「リベラルと保守を超えて──William J. Wilsonの人種関係論をめぐって」『四天王寺大学紀要』 49: 1-15.
 稲月正, 2001, 「<書評>ウィリアム・J・ウィルソン著『アメリカのアンダークラス: 本当に不利な立場に置かれた人々』/『アメリカ大都市の貧困と差別:仕事がなくなるとき』」『日本都市社会学会年報』 19: 202-204.



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